箱庭のデミウルゴス

この世界には、不運か幸運か、とある神によって不老不死にされた少年がいた。
数世紀の時を経て、生きることに疲れてしまった少年は、自身の死を望むようになる。死ぬ方法を模索し、そうして辿り着いた答えは、自身を殺せる神を造りあげることだった。
これは造られた神と、そんな世界に生きる人々の物語。

章構成について

本編である「デミウルゴスの序曲」「硝子のデミウルゴス」「箱庭のデミウルゴスたち」「デミウルゴスの終曲」と、硝子のデミウルゴスのifルートである「箱庭のアトリエ」「箱庭の宝石」による、6章で構成されています。

デミウルゴスの序曲 硝子のデミウルゴス 箱庭のアトリエ 箱庭の宝石 箱庭のデミウルゴスたち デミウルゴスの終曲 ifルート

各章あらすじ

デミウルゴスの序曲

これは箱庭が造られる前日譚。朝と夜が出会い別れるまでの物語。

時は西暦2200年。世界的にエネルギー資源不足に陥っている中、日本では新たなエネルギー資源である「ガラニレア」が発見される。それを独占しエネルギー輸出国となった日本は他国に優位をとることに。
世界情勢は大きく変わり、第三次世界大戦が起こる日もそう近くないとされていた。

国立研究所でガラニレア研究に勤しむ斎藤響は、ある日、ひとりの少年を拾う。
美しくも奇妙なその少年は、なんと「不老不死である」と語った。
斎藤は名前を忘れたと話すその少年に「アオ」と名付け、共に生活を送ることになる。

硝子のデミウルゴス

これは無知の箱庭。遠くの光彩へ手を伸ばす者たちの物語。

少女が目を覚ましたのは本に囲まれた部屋だった。
今までの記憶がない少女は、部屋に置かれた書類から、自身の名が「カルテ」であることを知る。
本の内容だけでなく、自分自身について知るため、カルテは部屋を出た。だが、その先で殺人鬼に襲われてしまう。
幸い、助けてくれた少年も孤独であると知り、カルテは「ルーク」と名を与えた。さらに家出少年のレストも仲間に加わり、三人は共に行動するように。

一定の周期で消える人。増え続ける猟奇的事件。だれも海の外を知らない。今いる閉鎖的なこの島は、どうやら何かがおかしいらしい。
カルテとルークは「幸せ」を求めて、島の秘密に足を踏み入れた。

箱庭のデミウルゴスたち

これは願いの箱庭。神と人と化け物たちの存在証明の物語。

第三次世界大戦は終結し、日本は世界で覇権を握るようになった。
同時に「真在蒼教しんざいそうきょう」という新興宗教が立ちあげられ、日本政府を中心に世界中に多くの熱狂的信者を抱え込んだ。
その熱狂ぶりは凄まじく、次は世界的な宗教戦争が起こるのでは、と噂されていた。

そんな中、島を出たカルテとルークは日本に上陸した。
島とは異なる、発展した文明社会に二人は圧倒され、今後どう生きていくかを考えさせられる。
ある日カルテは真在蒼教の存在を知り、その神の姿を見ると胸が締めつけられるような感覚に襲われる。その謎を解くため、二人は真在蒼教の本部へ向かう決意を固めた。

デミウルゴスの終曲

これはデミウルゴスたちにはなかった続き。彼らに花束を手向けるための物語。

真在蒼教は神を失い、日本政府は崩壊しつつあった。
争いが増え荒廃していく世界で、国家間の諍いは鳴りを潜め、平和に向けて各国は手を取り合った。

ひとり生き残り、世界から追われる身になったルークは自暴自棄の日々を送っていた。
あの日から数年たち、周囲の助けでかろうじて生き延びているルークのもとに、レストの娘であるリンカが訪れる。
幼く好奇心旺盛なリンカにルークは振り回されるも、その姿にかつて愛した人を重ねてしまう。

箱庭のアトリエ

これは夢幻の箱庭。美しいものを愛し続ける者たちのifの物語。

外界から遮断された小さな集落では、かつて才能を遺憾なく発揮した芸術家たちが、姿を変え第二の人生を送っていた。
ある者は生前と同じ道を選び、ある者は異なる道を選んだ。

一番初めに目を覚ましたというレオナルドを中心に、彼らは笑い、泣き、ときに狂気に陥りながらも新しい生活を受け入れていた。
この生活はいつまで続くのか、なぜ姿を変え生き返ったのか。深まるばかりの謎に目を逸らしながら。

箱庭の宝石

これは混沌の箱庭。刹那のかがやきを生きる者たちのifの物語。

緋星卓美に左目はない、はずだった。
16歳になった彼女に突然左目ができたかと思うと、そこには赤い宝石が埋め込まれていた。
その特異性からか、卓美は裏社会で狙われる身となってしまう。
裏オークションで売られそうになった卓美を助けてくれたのは、右目を眼帯で隠した一郷と名乗る男だった。

変わらず追われる身である卓美は、一郷と共に竜胆組という任侠団体に身を置くことになる。
時を共にするうちに、卓美は自らの身体の秘密と、一郷が抱える複雑な感情に向き合わざるを得なくなるのだった。